『OH! これガ、デんせつのゲームカセット、デすか!』
秋葉原店の目玉はこちら!なんと、今や存在が伝説とも言われている「キン肉マン マッスルタッグマッチ」のゴールドカートリッジです!大会上位入賞者に景品として渡され、日本に8本しかない... http://t.co/XHw05m2m
— 目金 (@meganebot) 2012, 6月 8
シェリアはガラスケースの中にある一際輝く黄金のファミコンカセットを目にして感嘆の声をあげた。
ここ秋葉原にあるレトロゲームショップぽてとは、レトロゲームショップの老舗中の老舗であり名店である。中古ゲームの買取り・販売を行い、ファミコン、ゲームボーイなど一昔前のゲームソフトは当然として、約二万本以上のゲームソフトを扱っている。品揃えは一級品。ゲーム機本体やカセットなどが山のように積み重ねているのは壮観だ。
あっ…もし秋葉原行く機会があったらスーパーポテトに行ってまた玉座に座らないとな~w pic.twitter.com/VOTDsLAaho
— ポルンガ (@busujim) 2013, 6月 6
シェリアが探していたものは、世界でたった十本しか無いと言われるファミコンカセットだった。
『すみませーん! これ、カメラ。OK、デすか?』
シェリアは天真爛漫の表情に合った爛々とした瞳を近くに居た店員に向けた。
「カメラ? ああ、写真ね。良いよ、どうぞどうぞ。プリーズ」
許諾を受けて、シェリアは手にしたスマートフォンで遠慮なく黄金のファミコンカセットを色んな角度で撮っていく。
その様子を端から見てるハルに店員は話しかける。
「しかし、外国人でしかもとびっきりの可愛い子を連れてくるなんて、やるね。里見くん」
「ただ案内しただけですよ。だけど、なんであの子はアレを探していたんだろう?」
店員はほくそ笑みながら答える。
「そりゃ珍しいからだろう。なんだって日本、どころじゃなく世界でたった十本しかないソフトだ。しかもこんな風に市場に出回っているのは、二~三本あるかないかの逸品だからな。それと多分……」
シェリアが一通り写真撮影が終わった所で、店員は営業に入る。
「ところでお嬢さん。そちらの方はお買い求めますか?」
『これ、いくらしますか?』
「六十万円です。ユーロならば、約四千五百ユーロですね」
『OH! 四千五百ユーロデすか! n'est pas cru. ムリムリ!』
一端の庶民が簡単に買える金額では無い。店員もこの反応が返ってくるのを想定していたらしく、一笑した。
「はは。まあ、観るだけなら無料ですので、ごゆっくり」
そしてハルは、ふと抱いた疑問をぶつけることにした。
「ねえ、シェリアさん。欲しいから、それを探していた訳じゃないの?」
『これをさガしていたのは、ワタシ、アキバのななダいヒホウをさガしていたからデす』
「え、アキバのななだいヒホウ?」
聞き慣れない言葉に首を傾げるハル。すると店員が補足を入れる。
「アキバの七つの秘密の宝、いわゆるアキバの七大秘宝ってやつだね」
『Oui、そうデす』
一人だけ話しが見えないハル。
「なんですか、そのアキバの七大秘宝ってのは?」
「外国で話題になっているみたいなんだよ。アキバにある珍しいお宝を見つける宝探しが」
『Oui。アキバには、ななこのタカラがあり、それをすベてみつけると、ねガいガかなうといわれてマス。ミつけたら、カメラデ、トります!』
「みたいだね。時々、外国のお客さんがそんなことを言って、その黄金のカセットを観に来て写真を撮っていくんだよ」
「へー、そんなのがあるんですか」
一種の観光的なお遊びみたいものだと、ハルは解釈した。
『Vendeur。なにか、ななダいヒホウについて、しっていることガありますか?』
「う~ん、ご生憎……」
店員は存じあげられないことを示すように両手を広げて見せた。
「ところでお嬢さんは、七大秘宝をいくつまで見つけたんだい?」
『これデ、四こデす』
「へー、もう半分は見つけているんだね。それじゃ、あともうすぐだ」
『Oui! ヒコウキのジカンまデに、ゼんブみつけたいデす』
ハルは自分の役目を果たせたということもあり、そろそろ昼ごはんでも食べに行こうと立ち去ろうした。
「それじゃ、僕はこれで……」
するとシェリアのお腹から『グキュルルル♪』と盛大に鳴り、思わずハルは足を止めてしまった。
『OH……。ランチ、まダデした』
ハルは呆気に取られ、店員は笑いを堪える。
「お腹が空いたのなら、四階にある駄菓子でも……」
秋葉原スーパーポテトの上の休憩所に駄菓子屋が出来てた
駄菓子とレトロげーの相性の良さ pic.twitter.com/PpEXC7zdja
— 謎のくま仮面X (@ayakumax) 2013, 4月 18
「いや。そうだ、里見くん。せっかくだからこのお嬢さんにアキバならではのグルメを案内してあげなよ」
「えっ!?」
「良いじゃないか。これもグローバルコミュニケーションだ。近々オリンピックも開催されるし、今の内に道案内とかに慣れておいた方が良いよ」
店員の突然の提案に、シェリアも乗っかかる。
『それは、おねガいしたいデす!』
ハルは店員とシェリアを交互に見返す。お目当ての声優イベント開始まで時間はある。それに昼ごはんを食べに行こうとしていたところだ。
「えっと……解りましたよ。まだ時間があるし」
『OH! Merci、ハル!』
「でも、シェリアさんは行ってみたいところって有ったりする?」
『そうデすね………あ! あります! いってみたいところ、あります!』
-続く-
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・掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
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